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日本の贈与税 2024年改正まるわかり ― 7年加算ルールと新設された110万円控除

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日本で家族に贈与をする方、あるいは贈与を受ける見込みのある方にとって、これまで以上に重要な日付があります。2024年1月1日です。この日を境に、国税庁(NTA)は生前贈与の2つの制度を作り直しました。どちらの制度も看板の数字自体は大きく動いていないため、見落とされがちですが、変わったのは「タイミング」と「仕組み」で、しかも方向は逆を向いています。

本記事は一般的な情報提供であり、個別のアドバイスではありません。 税制は改正されますし、状況は人それぞれです。数値は2026年時点のもので、国税庁(NTA)の情報に基づいています。実行前には必ず税理士にご確認ください。

2つの方式、選ぶのはどちらか一つ

日本の贈与税は、互いに排他的な2つの制度で構成されています。どちらか一方を選択し、同じ贈与者・受贈者の組み合わせで同じ年に両方を使うことはできません。

方式向いているケース2024年の変更点
方式1 ― 暦年課税少額・不定期の贈与、柔軟性重視加算期間が3年→7年に延長
方式2 ― 相続時精算課税60歳以上の贈与者が18歳以上の子・孫へこつこつ贈与新たに年110万円の控除を新設

2024年改正後もどちらの方式も存続しており、統合や廃止はされていません。改正によって方式1は死亡直前の贈与にとってやや不利になり、方式2は毎年こつこつ贈与するケースで大きく魅力が増しました。

方式1 ― 暦年課税と7年加算ルール

暦年課税では、受贈者は複数の贈与者からの合計で1暦年あたり110万円まで非課税で受け取れます。それを超える部分は、**10%から55%**の累進税率で課税されます(国税庁 No.4408)。

この年間非課税枠自体は2024年に変わっていません。変わったのは加算ルール――死亡に近いタイミングで行われた贈与を、故人の遺産に持ち戻す仕組みです。

出典:国税庁「令和6年 相続税・贈与税の改正のあらまし」(PDF)。

この変更が対策に与える影響

実務上の影響は、「早めに・こまめに」贈与することの重要性が増した点です。新ルールでは、死亡の8年前に行った贈与は遺産から完全に外れます。旧ルールで死亡の4年前の贈与が完全に外れていたのと同じ理屈です。一方、旧ルールでは完全に安全だった死亡前5〜7年目の贈与は、新ルールでは加算対象になります(経過措置の控除で影響は一部緩和されるのみです)。晩年の駆け込み贈与を相続税対策の切り札にしていた家族にとっては、その自由度が狭まったと言えます。

方式2 ― 相続時精算課税に新設された年110万円控除

相続時精算課税(そうぞくじせいさんかぜい)は、60歳以上の贈与者から18歳以上の直系卑属(子や孫)への贈与について選択できる制度で、2,500万円の特別控除があり、それを超える部分には一律**20%**の税率が適用されます。この制度で贈与した金額は、特別控除分も含め、原則として贈与時の評価額のまま贈与者の死亡時に遺産へ持ち戻されます(国税庁 No.4103)。

2024年改正では、これに加えて年110万円の基礎控除が新設されました。2,500万円の特別控除とは別枠です。そして、この改正が方式2の利用者にとって特に大きな意味を持つ理由が、この年110万円控除の「死亡時の扱い」です。

新設された年110万円の枠内の贈与は、方式1の贈与や2,500万円の特別控除分とは異なり、遺産に持ち戻されません。

これは見た目だけの変更ではなく、制度の構造そのものの変化です。つまり、贈与者は年110万円までを毎年、期限なく子や孫に移転でき、その金額は贈与税・将来の相続税の両方から恒久的に外れます。7年の加算期間も、持ち戻しも一切ありません。

なぜこの改正が方式2を有利にするのか

2024年以前、方式2は主に一度きりの大きな移転(例:不動産や大口資金を2,500万円控除で贈与する場合)に使われていました。この制度で贈与した金額は、いずれ遺産に戻ってくる仕組みだったからです。そのため、暦年課税の年間非課税枠のほうが「恒久的」に見えていました――7年加算ルールによって、暦年課税の持ち戻しリスクの期間も延びるまでは。

ここで毎年こつこつ移転したい贈与者にとっての損得が逆転します。方式2の新しい年110万円控除は、初年度から恒久的に遺産の外にありますが、方式1の年110万円非課税枠は、7年を超えて初めて恒久的に遺産の外に出ます。健康状態が比較的良く、複数年にわたる時間軸で考えられる贈与者にとって、方式2は「いつ亡くなるか」というリスクを気にせずに使える、よりすっきりした毎年贈与の手段になったと言えます。

どちらを選ぶか

判断ポイント向いている方式
贈与者が60歳未満、または受贈者が18歳未満方式1(方式2は利用不可)
毎年の金額を柔軟に変えたい方式1
大口の資産を一度に、大きな控除枠で移転したい方式2(2,500万円の特別控除)
少額をこつこつ、死亡時期にかかわらず恒久的に遺産の外へ出したい方式2(新設の年110万円控除)
贈与者の健康状態や余命を考えると、7年ルールがリスクになる方式2

もう一点、構造上重要な注意があります。ある贈与者・受贈者の組み合わせで一度方式2を選択すると、その組み合わせについては方式1に戻すことができません。この選択は撤回不可です(国税庁 No.4103)。最初の贈与を行う前に、税理士に相談する価値がある判断だと言えます。

国際的なケース・非居住者の場合

贈与税の課税範囲のルールは、相続税の完全ガイドで扱った相続税のルールと基本的に同じ構造です。全世界財産の贈与が課税対象になるか、日本国内財産の贈与だけが対象になるかは、贈与者・受贈者双方の居住地と国籍によって決まります。贈与税と居住形態についての国税庁の解説は No.4432 にあります。海外在住の贈与者・受贈者の方は、贈与税・相続税の両方に共通して適用される10年間の住所ルール一時居住外国人の緩和についても、日本の相続税 非居住者ガイドで詳しく解説していますのであわせてご確認ください。

申告と期限

贈与税の申告は受贈者が行います(贈与者ではありません)。前年1年間に受けた贈与について、翌年の2月1日から3月15日までに申告するのが原則です。相続時精算課税を選択する場合は、この制度を初めて使う年の申告で所定の届出書を提出する必要があり、この期限を逃すとその年の選択自体ができなくなります。

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参考情報

2026-07-06 に国税庁の情報と照合済み。

よくある質問

2024年の贈与税改正で何が変わりましたか?

大きく2点あります。1つ目は、暦年課税における生前贈与の相続財産への加算期間が、3年から7年に延長されたこと。2つ目は、相続時精算課税に新しく年110万円の基礎控除が新設され、この分は死亡時に遺産へ持ち戻されないことです。

7年加算ルールは、すでに行った贈与にも適用されますか?

一律に遡って適用されるのではなく、段階的に適用されます。延長された加算期間は2024年1月1日以降の贈与から適用され、完全な7年ルールが効いてくるのは2031年以降に発生する相続からです。それより前の相続では、実質的な加算期間は短くなります。

毎年いくらまで非課税で贈与できますか?

暦年課税の基礎控除は、これまでどおり受贈者1人あたり年110万円です。変わったのは年間の非課税枠ではなく、死亡前の加算期間(税務署がさかのぼれる範囲)です。

相続時精算課税に新設された110万円控除とは何ですか?

2024年分の贈与から、相続時精算課税を利用する贈与者には、既存の2,500万円の特別控除とは別に、年110万円の基礎控除が新設されました。この年110万円の枠内の贈与は、通常の暦年贈与とは異なり、贈与者の死亡時に遺産へ持ち戻されません。

暦年課税と相続時精算課税、どちらを選ぶべきですか?

目的によります。暦年課税は少額・不定期の贈与に向き柔軟性がありますが、死亡前7年以内の贈与は遺産に持ち戻されます。相続時精算課税は、年110万円分が恒久的に遺産から外れるため、60歳以上の贈与者が18歳以上の子や孫へこつこつ贈与したい場合に魅力が増しました。ご自身の状況に合うかは税理士に確認してください。

著者について

TCL ファイナンシャル・プランニング編集部

日本の法制度・公的統計・相続/贈与の実務を、ファイナンシャルプランナー(FP)の視点で世界に向けて解説する編集チーム。一次情報(国税庁・厚生労働省・e-Stat 等)に基づく。

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